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従姉妹シリーズ 玲編


ぼちぼち更新を再開していきたいので小説投稿を。

久々の従姉妹シリーズです。今回は従妹のの視点からの物語です。

彼女は何を思い、どんな気持ちを由理に抱いていたのか、そんな感じのストーリーです。


ブランクあったので変な所があるかも知れませんが、何卒宜しくお願いします。










 朝、カーテンの隙間から差し込んでくる光で私は目を覚ました。気怠い朝。朝は苦手だ。ただでさえ頭が回らないのに、寒かったり空気が冷たかったりして動く気力が起きない。ベッドから身体を起こし、身体に掛かっている毛布を退ける。その時ふと脚に温もりを感じた。まるで他人の脚のようなそんな感触、段々意識が覚醒して来て気が付いたが、私のすぐ隣から人肌を感じる。何か嫌な予感を感じ、私はキリキリと震えながら顔を横に向けた。するとそこには、私のよく知っている従姉、由理の姿があった。むにゃむにゃと寝息を立てながら、可愛らしい表情で眠っている。思わずその姿を見て可愛いと思ってしまった自分が憎たらしい。そしてその瞬間、私は何があったのかを思い出してしまった。昨夜、私は由理としてしまったのだ。今寝てるこのベッドで、子供の頃よくしていたあの遊びを。


「……~~ッ!」


 真っ赤になった顔を私は手で覆った。激しい後悔と恥ずかしさから声にならない悲鳴を上げる。
 やってしまった。子供の頃はまだ喧嘩と言う名の遊びで済んでいたが、高校生にもなるともう言い訳が出来ない。どうして?なんで?何故私はあの時由理が電話で私を連れて行こうかと言おうとした時止めたのだろう。何故由理と一緒のベッドで寝る事を承諾してしまったのだろう……どうして私は由理を誘うような事をしてしまったのだろう。


「……私の、馬鹿」


 大きくため息を吐き、私は熱くなっている頭を冷まそうと試みた。
 やってしまった物は仕方が無い。そう諦めよう。どんなに否定しようとした所で起こってしまった事は変わらないのだ。昨日の夜は流石に私も色々と冷静じゃ無かった。だからこんな、由理に甘えるような事をしてしまったのだろう……だけど、そんな私の情けない姿を由理に見られた事が悔しい。
 チラリと横で呑気に寝ている由理の事を見る。高校生になった由理は大分大人びた顔つきになっていた。昔は地味な感じで大人しい女の子って感じだったけど、今はしっかりとしたお姉さんみたいな雰囲気を醸し出している。


「……由理」
 

 小さく零すように由理の名を呟き、彼女の頬をそっと指で撫でる。それがくすぐったかったのか、由理は寝言を言いながらゴロンと身体を動かした。何処か猫みたいで可愛いが、逆に警戒心が無さ過ぎて逆に苛立つ。
 ああ、やっぱり悔しいな……こんなのほほんとした女に自分の醜態を晒すなんて。由理と初めて会ったのはいつだったっけか……確かいつもの両親の都合で私が由理の家に預けられる事になったんだ。その時私は由理と出会った。






「はじめまして、従姉の由理よ」

「……はじめまして」


 母親に連れられて私は初めて従姉の由理と会わされた。お互い初めて従姉妹と出会う事から緊張していて、私なんかはずっと母親の後ろに隠れていた。その時の由理の印象は本当に可愛い女の子という感じだった。優しくて、笑顔が似合う、皆の中心に立つような存在。そんな彼女が、私は気に入らなかった。何処となく自分と性格が似ている感じがして、何をするにも自分と行動が一緒になる為、自然と意識するようになってうっとおしく思うようになったのだ。きっと由理の方もそうだったのだろう。私と何処となく似ていてたから、同族嫌悪で嫌い合うようになったのだ。



「由理、それ取って」

「自分で取れば良いでしょ」

「……ふん、使えないのー」


 だからだろう、私はいつも由理に突っかかった。表向きには仲良しの従姉妹のように振舞い、母親達が居ない所では反発し合っていた。時には手を出すような喧嘩もあったり、ちょっとした怪我をする事もあった。今にしてみれば笑い話だ。けれどお互い本気でぶつかり合えたから、何となく私は気持ちがスッキリするのを感じた。
 --そして一線を超えてしまった。ほんのちょっとした衝突から、私達はいけない遊びをするようになったのだ。思えばその時から私は由理の事を意識するようになったのかも知れない。確かあの時も。







 それは私と由理がまだ中学生だった時の事だ。父親の転勤が理由で由理達が住んでる地方に住むようになっていた時だ。由理とすぐに会えると知ってちょっと嬉しがったのは内緒。あの頃は両親とも忙しくて私が一人になる事が多く、私は由理の家に厄介になっていた。





「お母さん、まだ帰ってこれないの?」

「ごめんね玲ちゃん。お母さんも色々忙しくて……お父さんも仕事ばかりで全然連絡取れないし……」

「…………」


 学校の休み時間の時、私は人気の無い廊下に繋がった階段の所で母親と電話していた。
 昔から父親と母親は仕事で忙しく、家に居ない事が多かった。どちらも仕事人間だからだろう。特に父親は地方に飛んでの仕事が多く、母親はその事に悩まされていた。これも同族嫌悪の一つなのかも知れない。父親と母親は似た人間だったから結婚した。だけどそれ故にすれ違いが多く、そしてそれは娘の私にも影響していた。
 通話ボタンを切って私は小さくため息を吐く。分かっていた事だ。電話してもどうせ無駄だという事は。最後に家族三人が揃ったのだはいつの事だろう?もう思い出せない。妙な感傷に浸り、私は目頭を熱くした。


「玲?」

 
 その時階段の下の方から身に覚えのある声が聞こえて来た。私はビクリと肩を震わせてその方向を見ると。そこには従姉の由理の姿だった。
 ああ、なんでこんな時に限って来ちゃうんだろう……こんな泣きそうな顔になっている時に。


「……由理」

「なに、あんた泣いてるの……?」


 由理に指摘されて私は慌てて顔を背ける。けれどもう遅かった。ポロリと涙が零れ、それが床に落ちる。
 なんで、なんで……どうしてこうタイミングが悪いんだ。よりによって大嫌いな由理に見られるなんて。死ぬよりも恥ずかしい。


「なんかあったの?」

「うるさい……どっか行って」

「あんたね……」


 私の気持ちなど知りもしないで由理はズカズカと近づいて来る。心配してくれているのか、それとも嘲笑う為に近づいて来ているのか。どちらにせよ迷惑でしか無かった。だから私は拒絶する。従姉の事を。頼むからこれ以上、私を惨めにしないで。


「玲……」


 私のすぐ隣まで由理は近づいて来た。私の表情を伺うように由理は顔を覗いて来る。由理の顔がすぐ傍に……ああ、どうしてこんなに、私の胸は熱くなってしまうのだ。
 気付いた時には私は由理の肩を掴んで唇を奪っていた。自分でもどうしてこんな事をしてしまったのか分からない。ただ今はどうしてもこの寂しい気持ちを慰めたかったのだ。その結果こんな行動に出てしまった。


「ンッ……?!」


 由理は驚いたように目を見開き、私から顔を離そうとする。しかし私がしっかり肩を掴んでいるせいで離れる事が出来ず、そのまま私の唇に弄ばれ続けた。
 由理の柔らかい唇の感触が伝わって来る。それをもっと味わいと思い、私は舌を入れ込む。無理やり由理の口を開かせて、彼女の口内に舌を挿入した。ニュルリと生暖かい感触に、唾液の甘い味がする。


「っ……っ……はぁ……」

「ぷはっ……はぁ……何のつもりよ?玲」

「…………」


 散々由理の口内を味わった後私は舌を引き抜いて由理から顔を離す。由理の顔は真っ赤になっていて、何処か瞳がウルウルと揺れていた。その表情がまた可愛すぎて、私は思わず唾をゴクリと飲み込んでしまう。きっと今の私は由理と同じくらい顔が真っ赤になっているのだろう。恥ずかしすぎて死にそうだ。
 そのまましばらくの間私達は黙って見つめ合っていた。由理は何か言いたげな顔をしていたが、私がいつもと様子が違う事に気づいてくれたのか、何も言わずに小さくため息を吐いた。


「……せめて……トイレに行こ」

「…………ん」


 由理は首を傾けながらそう言った。いくら人気が無いと言えど、こんな廊下で私達がキスしている所などあったら笑い話では済まないだろう。最低限として由理はトイレで隠れてしようと提案したのだ。きっと彼女は私がまたいつもの遊びをしたいと思っているのだろう。小さい頃に始めた、どちらの方が女として上かを競ういけない遊びを。それをまた求めているのだろう。今はそれで良い。そういう建前の方が私も安心してやれる。私はコクリと弱々しく頷き、トイレに移動する事になった。


「「ん、ちゅ……ちゅぷっ……ンンッ、ンフ……」」


 個室トイレの中に入って私達は抱き合うように身体を密着させながら濃厚なキスをする。けれど恋人同士がするような優しいキスでは無く、相手を貪るようないやらしいキス。瞳も開いたまま、相手を射殺すように睨み合いながら私達はキスをし合っていた。


「チュ、くちゅっ……はぁ……もう感じてるんじゃ無いの?玲」

「ちゅぱっ……由理だって、腰引いてるじゃん。顔も真っ赤だし感じてるんでしょ?」


 一度唇を離し、互いにそう挑発し合いながら相手の胸を掴む。乱暴に、捩じるように、それでも他人から触られる。ましてや従姉の由理に触れられると色々と感じてしまう。中学生になってそれなりに大きくなった私達の胸は互いのを押しつぶさんとばかりにぶつかり合った。私と由理もしっかりとお互いの背中に手を回し、身体を前のめりにさせて胸を押し付け合う。


「ん、んっ……由理の小さい胸なんか、私ので押しつぶしてあげる」

「んぁ……はっ……生意気ね。乳首突起させてる癖に……さっさとイキなさいよ」

「そっちが……あんっ……先にイケば」


 身体を大きく揺らし、私達は互いの胸を何度もぶつけ合わせる。そうしている内に乳首同士が触れ合い、ブラ越しでも分かるくらい突起し始めた。そうなれば益々乳首同士がぶつかり、私達は腰を曲げて快感に耐えようとする。口からは嫌でも甘い声が漏れてしまい、すぐ近くから由理の吐息が聞こえて来た。それが益々私を興奮させる。


「はぁ……ん、くっ……このっ……由理なんかに、負けない……!」

「んっ、あんっ……はぁ……年下の癖にぃ……んっ……!」


 胸を擦り合わせ、額からは汗が流れる。制服も乱れてボタンが外れ、それでもブラ越しに私達は胸を擦り合わせ続けた。脚を絡み合わせるように交差させて更に密着し、私達は額同士を押し当てる。すぐ近くに由理の顔があって私はドキリと胸を高鳴らせてしまう。どうして由理とこんな事をしていると、私はこんな気持ちになってしまうのだろう。


「あ、ん……くぅ……やっ、胸だけで……イっちゃ……あっ……!」

「ひ、ぁっ……ンァ! あっ……由理と、一緒なんて、ぃやっ……んッ!」


 ガクガクと腰が震え始め、私達は限界を感じ始める。交差させていた膝がお互いの股間部分に当たっており、パンツが擦れて快感が襲ってきた。それでも相手より先に絶頂したくないという気持ちから私達は耐える。顔を真っ赤にさせ、瞳をとろけさせ、喘ぎ声を零しながら。いくらトイレの中と言えど、もしも誰かが入ってきたらとんでもない事になっていただろう。


「「はぁ……あっ、ぁぁ、ああああああああああああああああああぁぁぁぁぁッッ!!!」


 そして遂に私達は絶頂を迎えた。同時にビクンと肩を震わせ、顔を上に向けながら悲鳴を上げる。腰が小刻みに震え、膝から透明な液体が垂れていった。まだ身体を震わせながら余韻に浸り、私達は目を半開きにしながら顔の向きを戻す。目の前には大嫌いな女の顔。なのに、嫌でも可愛いと思ってしまう。


「はぁ……はぁ……まだ……此処からが本番だよね?」

「っ……当たり前」


 いつもは疲れた顔をする由理が今回は挑発するよな笑みを浮かべてそう言って来た。ムカつく。私はそれに噛みつき、由理の唇を奪った。由理もそれを受け入れ、互いの舌をぺろぺろと舐め合う。
 そして私達はスカートを脱ぎ捨てた。濡れたパンツも脱ぎ、お互いの秘部が露わになる。愛液が垂れていてとてもエロい。顔が熱くなるのを感じた。


「玲のアソコ、愛液でドロドロじゃん」

「由理だって……そんなにヒクヒクさせて。やっぱり変態だね」


 そう言いながら私達は距離を縮めていく。秘部がお互いのを求めあうかのようにヒクヒクと震えており、私の興奮は高まって行く。そして立った状態のまま私達は互いの敏感な部分を擦り合わせた。鋭い快感が身体全体に伝わり、思わず声を漏らしてしまう。


「「ンンッ! ……ンァ……」」


 由理もガクンと肩を震わせて辛そうに声を漏らす。けれど私達は一歩も引こうとはせず、そのまま脚を交差させて互いの秘部を激しく擦り合わせ始めた。既に愛液で濡れているそこはよく絡み合い、いやらしい水音を立てながら混ざり合って行く。


「はぁ……あん! ……ンっ……ほら、舌出しなさいよ」

「んっ、由理が先に出してよ……ん、ちゅ! ……ン」


 腰を振り合いながら私達は唇を重ね、互いの舌を引っ張り出すように唇をぶつける。隙間から唾液が垂れ、それが制服に掛かった。暑さもあって私達は制服を脱ぎ捨て、ブラジャーも互いのを外し合うと胸を直に擦り合わせた。キスをしながら互いの胸を重ね合わせ、秘部を擦り合わせる。まるで恋人のよう。けれど私達の瞳には闘志の炎が灯っている。


「「ンッ! ンチュ! ンフ、ンっ……ンゥ! ンンッ!」」


 舌を絡み合わせているせいで声を上げる事は出来ない。お互いの口内で喘ぎ声を漏らしながら私達は秘部を擦り合わせていく。由理の温もりが身体全体で伝わってきて、信じられない程の快感が伝わってくる。由理と肌を合わせる度に、私の心が満たされていく。だからこそ、負けたくない。


「「ンクッ! ……ンっ! ンっ! ンンッ!!」」


 段々と由理が限界を感じて来てるのが分かった。これだけ身体を重ねていれば由理が今どんな状態なのかもすぐ分かる。キスの激しさから大分焦っているようだ。そして私も、下半身から熱が広がって来てもうすぐ限界なのが分かる。私達は苦しみから逃れるように激しく舌を絡み合わせ、身体を密着させ、抱き合いながら絡み合った。そして遂に、限界が訪れる。


「「ンンンンンンンッッッ~~ン……ン……ッ!!!!」」


 ガクンと腰を震わせ、同時に絶頂して私達は互いの口内で喘ぎ声を上げる。溢れ出した愛液が互いの秘部に掛かり、ぐっちょりと混ざり合っていやらしく輝いていた。頭の中は完全にピンク色のなり、私達は壁にもたれ掛かりながら相手の肩に顔を乗せて呼吸を整えた。


「はぁ……はぁ……」

「ん……はぁ……」


 まだ息が荒く、私達はそっと見つめ合う。絶頂したばかりで頭が真っ白になっているから、恥ずかしいなんて気持ちが抱かなかった。私はポスンと由理の肩に顔を埋めた。由理はそれを拒絶する事無く、私の背中に手を回して来る。また目頭が熱くなる。けれど言葉は交わさない。これが私達従姉妹の関係。交わってはいるが、決して歯車のように綺麗にははまらない関係。
 それから休み時間が終わるまで私達は交わり続けた。同時に絶頂したり、片方が絶頂したり、それを繰り返した。けれどチャイムの予冷の音を聞くと、目が覚めたように私達は冷静になり、何の言葉を交わさず制服を着替え直すと授業に戻った。淡白と言うか、冷めきっているというか……やっぱり変な関係だ、私達は。

 退屈な授業を受けながら私はぼーっと考え事をする。
 私にとって由理とはどういう存在なのだろうか?こんないけない遊びをするくらいなのだから、それなりに近しい関係ではあると思う。それが決して仲の良いという訳では無いが。別にあいつと仲良くなりたい訳じゃ無い。ただ、出来れば……もう少しだけ、素直に話せるようになれば良いなとは思う。ただでさ両親の仲はギクシャクしていて、家では独りだった。だから私はしっかり者であろうとした。けど、由理の前でなら、私は甘えられるような気がする。ほんのちょっとだけだけど。そんな複雑な気持ちを抱いていたある日、私の元に胸を裂くような知らせが来た。


「転校……?」

「そうなの、またお父さんが地方に転勤する事になっちゃって……本当にあの人は……とにかくそういう訳だから、玲ちゃんも色々準備しておいてね。まぁ玲ちゃんはしっかりしてるし大丈夫よね」

「…………」


 下校時間の時突然の母親からの電話に驚き私はその報せを聞いた。--ああ、ああ……また、か。決して父親の転勤に不満を抱いている訳では無い。母親が私はしっかりしているか全部任せている事に不満を抱いている訳では無い。だけど、母親のあの口調からして、かなり父親に苛立っている素振りが感じられた。子供は両親の態度に敏感だ。だから分かる。もうすぐこの関係も終わってしまうのだろう。小さい頃から分かっていた事だ。夜な夜な父親と母親は喧嘩していた。転勤の事とか、仕事がどうとか、小さかった私にはよく分からなかったが、もう段々と分かって来た。私の家族は、もう崩壊仕掛けている事に。ふと外を見る。雨が降っていた。まるで私の心境を悟っているかのようだ。


「玲、傘使う?」


 そんな時だった。後ろから声を掛けられた。もう振り向かなくても分かる。由理だ。由理の手には折り畳み傘が握られていた。どうして……どうしてこんな時に私に声を掛けるの?どうしていつも、タイミングが悪いの?私は思わず泣きそうになるのを我慢し、冷たい声で拒絶した。


「要らない。て言うか学校で話し掛けないで」

「はぁ?こっちは親切で言ってやってるのに、なにその態度」

「そう言うのおせっかいっ言うから。うっとおしいのよ」


 私はそう言う。自分でも酷い事を言っているなとは思った。だけどこれ以上私の心に由理を入れたく無かった。もう私には関わらないで欲しい。由理に優しくされると、自分が惨めな気持ちになって来る。だから私は逃げるように下駄箱に向かい、雨に濡れながら家に帰った。そしてまた一線を越え、私は由理に甘えてしまう。悲しみを別の悲しみで塗り潰し、私は自分の本音を隠す。そうすれば、惨めな気持ちにはならないはずだ。ああホント、私はズルい人間だ。
 
 そして私は転校した。突然過ぎてろくに由理にさよならも言えなかった。まさか翌日にもう出発とは思わないだろう。母親も言うのが遅すぎるのだ。でもこれで良かったのかも知れない。もう一度由理と顔を合わせたら、私はまた甘えてしまうかも知れない。だから良かったのだ、これで。








「……ほんと、ズルい人間ね。私は」


 昔の事を思い出し、自分の髪を掻きながら私はそう呟く。
 こうして思い出すと由理とはいつも喧嘩してばっかりだ。嫌い合って、罵倒し合って、殴り合う……そんな関係をよくも続けて来れたものだ。私はまた横を見る。隣では相変わらず幸せそうな顔で寝ている由理の姿があった。


「んんゥ……」

 寝息を立てながら由理はそう言って何かを払うように手を動かす。夢でも見ているのだろうか?そろそろ起きそうだ。由理が起きた時私はどんな顔をすれば良いんだろう。いっその事このまま部屋を出て逃げ出そうか。いや、それじゃ中学の時と一緒だ。逃げるだけ。それじゃ何の解決にもならない。もう分かっているはずだ……私は由理の事が……。


「ン……んぅ?……」


 ずっと眠っていた由理がゆっくりと瞼を開き、目を覚ます。まだ寝ぼけているようで、天井を見てから私の方へと顔を向けた。視線があう。まだ由理は反応を示さない。頭が追い付いていないようで、しばらくぼーっとした表情を浮かべていた。そんな彼女に対して私は笑い掛ける。


「おはよう、由理」





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なんだか涙腺を刺激されてしまいました... 

玲が素直になれなかったのは彼女の家庭環境にあったんですね...
でもそんな自分をなんだかんだ言いながらもいつも受け止めてくれる由理がいてくれた、それが嬉しくもあり切なくもあった...。
なんだか今回の話を読んでいたら涙が出てきてしまいました!
白金さん、本当にありがとうございます!
次回も楽しみに待ってます!くれぐれも無理はなさらず、ご自分こペースで大丈夫ですよ!

Re: 

774さん、コメント有難う御座います。
従姉妹シリーズはストーリーのある作品にしたいと思ってこうしてみました。
他の作品とは違う雰囲気になったならば幸いです。

 

由理と玲、今までこんなにすれ違ってたんですね...

でも今度こそ...!

Re: 

コメント有難う御座います。
次回では今までとはちょっと違う展開になるかも知れません。
いつ書くかは分かりませんがその時はどうか宜しくお願いします。

 

玲視点の肝試し編も気になります!

Re: 

そういうのもアリかも知れませんね。
玲視点はまたいつかやるかも知れません。
従姉妹シリーズはぼちぼち続けていきますので、次回もどうか宜しくお願いします。

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